「地球にいたほうがいいよ。おやつもあるし、働かなくても私が養ってあげるし」
 言いながら、ヒモ男に対して未練がましくすがっているような錯覚に陥る。

「俺が帰るのがそんなに寂しいのか?」
「うん」
 その答えに、マカロはまたげらげらと笑った。
 美遥はムッとして彼をジト目で見る。

「猫は三日で恩を忘れるというけど、マカロもそうなんだね」
 言われたマカロはムッとして美遥をにらむ。
「俺はキャット星人だ」
「猫じゃん」
 美遥はブラシを手に取るとマカロの背を軽く撫でた。

「喉を撫でるとごろごろいうし、抱き心地はいいし、猫パンチするし、猫だもん、うちにずっといてほしい」
「猫扱いするなと言っている!」
 マカロは怒って美遥から距離をとり、美遥は涙目で彼を見た。
 ふん! と顔を逸らされて、美遥はしおしおと項垂れてブラシを片付ける。

 そのまま隣室のベッドに倒れ込む。
 美遥はスマホを見て気を紛らわせようとするが、ちっとも気が晴れることはなかった。