シンク下から袋を取り出すと、中から長細い包みを一本取り出した。
「これあげるから」
「なんだそれは」
「猫はみんな大好きなんだよ」
 にこにこと言う美遥に、マカロははっとする。

 もしかしてこれが噂の。
 美遥がピッと封を切ると、かぐわしい匂いが漂ってきた。
 猫は犬ほどではないが、鼻がいい。ふんふんと匂いをかぐと、さらに濃厚においしそうな香りがした。

「どうぞ」
 鼻先に突き出されると、マカロはもう我慢できなかった。
 両前足で支えるようにして、それを舐めてみる。
 直後、脳天を雷が撃ったような衝撃が走った。

「うまい!」
 その後は夢中になってぴちゃぴちゃと舐めた。キャット星人の矜持など吹き飛んで、まっしぐら。

「うまい! もう一本!」
「食べすぎはダメだからね、今日は終わり」

「下僕のくせに主人の命令を聞かないのか!」
「こういうのは下僕がしっかり管理しないと。メタボになってほしくないし」

「下僕のくせに……!」
 怒りに燃えるマカロをスルーして、美遥はいつものようにシャワーを浴びてきた。ごはんは外で済ませて来たようで、家では食べないようだ。
 じゃらしでご機嫌をとろうとしてきた美遥につんと顔を逸らし、マカロは毛布を引っ張り下ろして床に置かれた猫ベッドで丸まった。