「発注の締切は今日でしたよね。猫グッズは発注し過ぎないでくださいね」
「あはは。気をつける」
 発注リストに猫グッズがあるとつい発注してしまい、バイトにはすっかり自分の猫好きが浸透している。

 美遥はその日も忙しく働いた。
 仕事を終えるとまたペットショップに寄ってしまった。家に猫がいると思うと、仕事の疲れが吹き飛んでしまう。

 犬用の服を見て、ふと考える。猫が服を着るのもかわいいが、彼は嫌がるだろうか。バンダナを首に巻くくらいなら許してくれないかな。サイズはどれくらいだろう。
 そういえば、頭を撫でてすらいない。撫でたら怒られるかな。ブラッシングならどうだろう。

 猫用ブラシを買ってるんるんで帰った美遥は、玄関を開けた直後、崩れ落ちた。
 部屋はティッシュペーパーが散乱し、真っ白だ。

「あはははは~!」
 走り回ったマカロは楽しそうにティッシュの海に飛び込んでいる。

「なにやってんの!」
「おう、やっと帰ったか。おもしろいな、このおもちゃ。もっと出せ」
 マカロの言葉にがくりと両手をつく。

「違う……。生活用品だよ……」
「このぺらぺらが?」
 マカロが不審そうに聞き返す。宇宙猫はどんな生活をしているのだろう。紙なんてないのだろうか。

「猫っていたずらするって聞いたけど、これか……」
 吹き飛んだはずの疲れが二倍、三倍となってのしかかってくる。