同じく兎もトイレのコントロールができないという。犬猫はしつけしだいでトイレの場所は覚えてくれる。完璧な制御は無理だけど。
 爬虫類は静かでいいと聞いて心惹かれたが、餌の問題であきらめた。昆虫なんて触るどころか見るのも嫌だ。

 やはり猫が至高。ふわふわで抱きしめることができて、散歩も必要ない。口元のω(オメガ)みたいな形もかわいい。あちこちひっかくから柱や壁やソファをぼろぼろにされるとは聞くけど、それ以上にすべてが愛らしい。
 老猫になったら介護の問題もあるし、病院代も高い。だが、それはどの動物でも同じだろう。飼うなら最期まで看取ると決めていた。

 まだ猫を飼っていないから、彼を自宅に住まわせる余裕はある。
 猫に戻ってしまうと怖がる彼に、一緒に暮らそう、と言って傷付けないだろうか。
 情に流されているだけの気もするが、目の前で泣く彼を見捨てることもできやしない。

「あのね、ルナ」
 話しかけたときだった。視界の隅に犬が見えた。が、違和感がある。
 よく見ると、しっぽがおかしい。柴犬っぽい雑種のようだが、ふさふさした本来の尾に加えて猫のようなしなやかな黒い尾がある。

「あれじゃない!?」
 私の声に、ルナは顔を上げた。
「あれだ!」
 途端にルナは走り出す。
 あっという間に距離をつめると、ばあっととびかかった。

「わん!?」
 犬は驚いて逃げ出すが、ルナはさらに追い掛ける。
 公園内をおっかけっこする犬と猫に、私はおろおろと立ちすくんだ。