あちこち歩き回ったが、ルナのしっぽは見つからなかった。
 コンビニでサンドイッチとコーヒーを買い、公園のベンチで休憩する。
 この公園は小さくて、ひと気がない。遊びたい人は近くにあるもっと大きな公園に遊びにいく。お年寄りが別のベンチに座って仲良く話しているくらいだ。

 猫用のおやつも買ったから、ルナにはそれをあげた。
 これってあげすぎちゃダメなんだよね。猫又は例外かな?
 食べ終えた彼は、はあっとため息をついた。

「どうしよう、見つからなかったら。猫又の国に帰れなくて猫に戻っちゃう」
 しっぽが食べられてない場合は猫に戻るだけのようだ。

「まだ探し始めたばっかだよ」
「きっと誰かに持っていかれたんだ」
 しくしくと泣く彼の丸まった背を撫で、私は考える。やわらかな毛並みに、どうしようもない愛しさが湧いた。

 ひとり暮らしが決まったとき、ペットを飼ってもいいよ、と両親に言われた。
 猫がいいな、と最初に思った。だけど犬もかわいい。だけど犬は散歩が必要だから、ひとり暮らしではきつい。

 鳥もいい。散歩の必要がない。気になるのはフクロウだが、餌がネズミだと聞いて、無理!と思った。ネズミを冷凍保存とかをレンジで解凍とか、気が遠くなりそうだ。専用のレンジと冷凍庫を用意するのはお金がかかりすぎる。それに鳥類はトイレのコントロールができない。