しっぽをなくした猫又




 マロンの案内で行った家は公園から近かった。
 来たはいいけど、どうしよう。
 家を眺めて考える。
 よくある一軒家で、鉄柵の門はオシャレで庭には芝生がしきつめられている。明るい日差しの中、花壇の花はきれいに咲き誇っていた。

 元飼い犬の幽霊がいます、なんて言ったら変な人だし、なにもせずに帰るのも癪だ。
 マロンは私の足に隠れてちちらちらと視線を送るが、直視する勇気はないようだ。

「さっさと行くにゃ」
「でも、どうやって訪問したらいいのか……飼い主は何歳くらいだったの?」
 たずねると、マロンは首をかしげた。

「人間の年齢はわかりづらくって」
「女の子は学校に行ってる?」
「行ってる。朝、なんか背負って出かけてるよ」
「ランドセルか。小学生だね」
 ふむ、と顎に手を当てて考える。学校帰りに偶然を装って会ってみる? でも私は会社があるし、マロンがひとりでくるのも無理だろう。ルナが付き合ってくれるとも思えない。
 そういえば、猫又のしっぽを持つと妖力を持てるのだっけ。

「妖力でなにかできない?」
「なにかって……」
 マロンが首をひねる。