君はいつでも宝物をくれる

「なんでって……好きになるのに理由なんかないだろ。サトは? サトは……どう思ってる?」
「……僕は、僕は怖い……」
「は? え? どういうこと?」
「だって、僕は男だよ。それに醜い……」
 普段、感情を表に出すことなんかない。でも、今は、止められなかった。
「……おかしいよ。好きなんて、変だ」
「……」
 変だ。
 死ぬほど嬉しいのに、どうしたらいいかわからない。
 顔が見れない。
 僕は醜いのに。男なのに。
 亮太の手が頬に触れた。
 親指が撫でるように動く。
 冷たくなった頬に温かな手が心地よい。
「暁士は、醜くない。綺麗だよ」
「……き、綺麗って……」
 亮太の照れた表情を見て、こちらも恥ずかしくなった。
「サト、サトは? 俺のこと好き?」
 真剣な顔の瞳を見つめ返して、こくりと頷いた。
 瞬間、抱き寄せられて、亮太の唇が僕の唇に重なった。
 それがキスだと認識したのは、重なってから少し息苦しさを感じてからだった。
「サト、俺を描いて。ずっと俺だけ見ていて」
 縋るような目をする亮太が少し幼く見えた。

 *****
 
 亮太からの告白後、サト自身に少しだけ変化があった。