君はいつでも宝物をくれる

 そう、昔、薄暗くなったグラウンドを駆け回る亮太を描いていた。「よく描けるな?」と問われて、「りょうちゃんは明るいから」と言った。
 首を傾げて、ふーんと言いながらボールを蹴る。
 ただそれだけの会話をして、亮太はサトが描き上がるまで待っていてくれた。
 
「本当はね、金色じゃないんだよ……言葉では言い表せないんだ。(まばゆ)い輝きっていうかな……(まぶ)しいんだ」
 グラウンドから亮太に視線を移した。亮太がじっと僕を見ている。
 見られていることへの羞恥で、またグランドに向きなおろうとした。
 その時、亮太がふわりと近づき、サトを抱きしめた。
 
 ――――!
 
「サト、暁士……お、俺……好きだ」
 ふと身体が離れた。
 近くに寄った真剣な眼差しに息を呑んだ。
「好きだ。暁士のことが好きなんだ」
 暗がりでもわかるくらいに亮太の顔が赤く染まっていた。
 言葉が出てこない。
 さっきまで、吹いていた風に寒さを感じてたのに、今は、顔も首も、全身があつい。
「なんで?」
 やっと出た言葉がそれで、自分でも情けない気持ちになる。