サトは、肌の色が白い。
 小さい頃は、可愛らしく見える色白も、高校生の男にはアンバランスで気持ちが悪い。
 日焼けしようにも赤くなって終わり。
 中学生の時にビーチで調子にのって日焼け止めも塗らずに遊んでいたら、真っ赤になって肌が()れあがってしまった。
 その後、ボロボロと皮がむけ、自分が別の生き物になったような嫌な気分だった。
 それ以来、日焼けをしようと思わなくなった。
 一緒に来ていた亮太は、こんがり小麦色に焼けていて、中学生には見えない色気がそのころから備わっていた。
 
 僕の性的指向は、その頃はっきりした。
 ビーチできわどい水着姿の女性より、男性の姿に目を奪われていたし、なにより水着姿の亮太を凝視していた。
 最初は、それがどういう意味なのか自分でもよくわからなかったが、母の兄に会って、確信した。
 英康(ひでやす)おじさん。
 ずっと海外で暮らしていたが、都内でバーを経営することになったということで、そのお祝いにお店へ行ったのだ。
 母に兄がいることは知っていたが、あまり話題にも出てこないので、たいして気にも留めていなかった。
 じいちゃん、ばあちゃんと英康おじさんの関係は希薄だったが、母と英康おじさんは連絡取り合っていたみたいだ。