君はいつでも宝物をくれる

「正直、俺は絵が上手い方だと思っていた。でも、美術部で京香や、平の絵を見た。おごっていた自分を恥じた」
「俺は絵が好きだ。だからこう切磋琢磨できる仲間が出来て嬉しい」
 部長が、こんな熱い情熱を持っていたことに驚いた。
 彼が持っている透明に近い白色は、赤色が帯びていて、かっこよかった。
 本気で伝えてくれているとわかって嬉しくなった。

 小さい頃から見える色のせいで、それをどう処理したら良いか悩んでいたこともあった。
 小学生に上がる頃には、色の意味が分かってきて、それによって、人がどんな反応をもたらすのかも知った。
 だから、人付き合いは苦手で、あまり人と関わり合いにならないほうがいいと思っていた。
 それなのに、京香先輩や部長は、そんな僕に自分をぶつけてきてくれた。
 なんだか、申し訳ない気持ちになった。
 僕は、臆病で、逃げてばかりだ。
 こんなに気持ちをぶつけてくれる人に対して、僕は、いつまでも僕を出せていない。
(なにか、なにか言わなきゃ……) 
「僕も絵が好きです。ずっと描いていたい」
 幼い子が、お菓子食べたいとか、遊びたいという感情と同じような素直な言葉が出た。