君はいつでも宝物をくれる

 その場にしゃがみ込み、それを手に取りめくった。
 
 向かい合って描いたであろう亮太の絵があった。
 次のページにも。その次のページにも。
 段々、亮太が真正面を見ていない絵も増えてくる。
 走っている。食べている。遊んでいる。泣いている。笑っている。
 グラウンドでサッカーをしている絵も出てきた。
 家の近くには、公園兼多目的グラウンドがあって、小学生の頃はそこでサッカーをしていた。
 最近は、そのグラウンドに行ってないけど、おそらくこの絵はその頃のものだろう。
 大きくなって、このグラウンドで遊ばなくなったけど、それ以外でもサトは亮太を描いていた。
 もちろん最近の絵も……。
 ソファでくつろいでいる横顔。ゲームをしている姿。サッカーボールと戯れていている……俺。
 ――――――!。
 全部、俺の絵。
 サトは、小さい頃から変わらず俺を見ていた。
 全身が、顔が沸騰するように熱い。
 彼の想いが自分の手元に溢れていた。
 こんなに沢山の宝物をくれていた。
 こんなことに今更気づくなんて……。
 
 
「ちょっと走ってくる」
 たまらなくなって、外に出た。足は、もう大丈夫だ。