そんで、お迎えの時に先生からその話を聞かされた母親が「泣かなかったの。偉かったね」と言った。
 その日は、サトの親もお迎え時間が同じタイミングになったから、家まで一緒に帰ったんだ。
 その帰り道、サトが泣き出した。
「りょうちゃんが泣いている。りょうちゃんの色が泣いている。僕も悲しい」
 最初は意味がわからないし、気味が悪いと思ったけど、 後から親同士が話して、それを子供でもわかりやすく俺にも話してくれた。
 サトが人の機微に敏感であることを知った。
 色が見えると知ったのは、絵画教室で先生とサトが話している時に教えてもらった。

 そんなことを思い出していると、席で一人待っていた5歳くらいの子の母親らしき人がきて、「もう体操クラブに文句いわなきゃ」とぶつぶつ文句を言って、一緒に帰って行った。
(母親というのも大変だよな)
 そこからか、俺の母さんとサトの母親の仲が良くなったのは。
 連絡取り合って、協力しあっているようだった。
 そして、段々、一緒にいる時間が増えて、兄弟みたいになった。
 すぐ横にいるのが当たり前の近い存在。