最近、彼の目が、寂し気で、空っぽという感じがする……そんな瞳には俺は見えていないのかもしれないと思うと、それが怖くてしょうがない。
 ……実際、今彼がなにを考えているのかわからない。
 ……それなら、聞かないと。話を聞かないと。
「ゆきちゃん、ありがとう」
 亮太がお礼を言うと、「へ? なにが?」と首をかしげている。
 お待たせーと手をふりながら、田中が戻ってくる。
「そういえば、私、栗ご飯作り方しらないんだよね……どうしよ」
 田中に手を振りながらゆきちゃんが呟いた。
「じゃ、レシピ教えるよ」
「マジで!」
 サトのお母さんは、毎年、旬のものを作ってくれる。
 確か去年、栗ご飯を皆で食べた。
 美味しかったな。
 今度、家へ行ったとき、おばさんに聞いてみよう。
 そして、俺の気持ちを伝えて、サトの話を聞こう。
 
 サトのおばさんが、栗ご飯を作るからと誘ってくれた。
 久しぶりにサトの家に来た。
 久しぶりに話した。
 良かった。普通に話せてる。
 そうだよな。別に喧嘩したわけじゃないのに、なんでこんなになってしまったんだっけ……。