彼がくれる羨望のような熱い眼差しは、俺が何をしても、ついてきてくれるという安心感があったからだ。
 あの時、「試合は見に行かない」という言葉は、もう俺を見てくれないということを言っているようで目の前が真っ暗になった。
(――なんか、俺、ほんと、かっこ悪い)
 
 部活の帰り、田中とゆきちゃんと三人で駅前まで歩いていた。
 ゆきちゃんは電車通学だ。
 学校は、近くだから、ゆきちゃんはよく部活の練習を見に来ていた。
 どうやら、二人は、とてもうまくいってるらしい。
 バス通学の俺も歩いて、田中はチャリを押しながら、ゆきちゃんの隣を歩いていた。
 夕方ともなると秋の空気に肌寒さを感じる。
 秋だね。という言葉に食欲の秋。なんていう言葉が続く。
「俺、栗ご飯が好きなんだ」
 田中の言葉に、ゆきちゃんが「今度お弁当でつくってあげる」と言っている。
 お熱いことで……。
 田中が駐輪場に行ってる間、二人で駅に向かって歩いていた。
 この後、ゆきちゃんと田中は駅ビルのファーストフードで食べてから帰るらしい。
 駅前のバス停留所にはまだバスが来ていない。