「俺の母ちゃんさ、陶芸教室通ってるわけ、でさ、見に行けってうるさくてさ。ささっと見るだけでいいから」
わりいな。と言ってスタスタと目的の場所に進む。
陶芸は、絵画の隣のフロアーだった。
絵画、最後のコーナーに『空っぽ』平 暁士と表札されている絵があった。
サトの絵は、沢山見てきたけど。これは、明らかに今までと違っていた。
顔半分は、ほとんど塗りつぶされていて、片目には、棘のある瞳が写っていた。
怖い。悲しい。寂しい。
そんな印象に思った。
これは、暁士なのか……?
絵の前に突っ立っていると、橋本がやってきた。
「平って、あの平? へぇーすごい迫力のある絵を描くんだな。俺は良く知らんけど、もっと優しい絵を描くような奴だと思っていたよ」
そうだよ。サトは優しい絵を描く。これは……この絵は、なんていうか、サトの絵じゃないようだ。それでも、きっとこれは、良い評価が得られるだろう。
俺も絵のことを知っているわけじゃない。
でも、この得たいの知れない迫力は、絵画としては凄いもののように思えた。
――ただ、好きじゃない。
10月、サトは時の人となっていた。
わりいな。と言ってスタスタと目的の場所に進む。
陶芸は、絵画の隣のフロアーだった。
絵画、最後のコーナーに『空っぽ』平 暁士と表札されている絵があった。
サトの絵は、沢山見てきたけど。これは、明らかに今までと違っていた。
顔半分は、ほとんど塗りつぶされていて、片目には、棘のある瞳が写っていた。
怖い。悲しい。寂しい。
そんな印象に思った。
これは、暁士なのか……?
絵の前に突っ立っていると、橋本がやってきた。
「平って、あの平? へぇーすごい迫力のある絵を描くんだな。俺は良く知らんけど、もっと優しい絵を描くような奴だと思っていたよ」
そうだよ。サトは優しい絵を描く。これは……この絵は、なんていうか、サトの絵じゃないようだ。それでも、きっとこれは、良い評価が得られるだろう。
俺も絵のことを知っているわけじゃない。
でも、この得たいの知れない迫力は、絵画としては凄いもののように思えた。
――ただ、好きじゃない。
10月、サトは時の人となっていた。
