客観的に見て、自分の絵がどんな風に見えているのか恐ろしくなった。
絵を描き上げた時は、もう描けないからというだけでそのまま提出したのだ。
その絵が、良い仕上がりかどうかなんて判断できなかった。
絵画最後のフロアー壁に、『空っぽ』というタイトルの絵があった。
今までみた、色とりどりの絵から外れた気味の悪い絵が目の前にあった。
「サトくんの絵……迫力があるわね」
京香の言葉に部長も頷く。
僕は、見ていられなかった。
酷い絵だ。
汚い絵だ。
下を向いていたサトに、顧問が近づき声をかけてきた。
「平、お前の絵、だいぶ良い評価ついてるぞ。もしかしたら市内に飾られる一枚かもしれないな」
毎年、良い作品は、市内のどこかに飾られる。
ローカルの紙面や小冊子に掲載されることもある。
その言葉に、京香も部長も喜んでくれたが、サトは早くこの場から去りたかった。
