京香が、校庭に行こうと誘ってくれた。
 外でスケッチすれば、何か描きたいものがでてくると言われて。
 練習をしている亮太を見つける。気付いた亮太が軽く手をふってくれた。
 きらきらとした彼の笑顔に胸がときめく。
 でも、苦しい。

 ふと、校庭の外を見ると、あの女子高の彼女がサッカー部の練習を見ていた。
 他校だから校内には入れない。だから、外から見ている。健気に見ている姿に苦しくなる。
 彼女なんだ。
 付き合っている。
 僕なんかがかなうわけないだろう。

 見ていたいけど、見られない。
 見つめられたいと思うのは、好きな人にだけだから。
「京香先輩、ありがとう。僕、部室で描きます」
 そう言うと、サトは校舎の中に入って行った。