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 美術部では、そろそろ市主催の美術展覧会に向けて動き始める。
 個人でテーマを持って、応募するのだ。
 絵、彫刻、陶芸。
 それらが全て展覧される。
 学校だけでなく、企業も参加する大きなイベントで、応募された制作物は、有名な評論家やプロからの視点で評価される。
 そして、優秀な評価がついた作品は、市内のあるゆる場所に展示される。
 大きな芸術のイベントになっている。

「テーマ、タイトル決めたら、紙に書いて出してくれ」
 部長が一人一人に用紙を配って歩く。
 
 あれから、サトは空っぽになっていた。
 しばらく絵を描いていない。
 亮太の絵を描いていると、涙が溢れてくるからだ。
「サトくん、大丈夫? 最近、絵描いてる?」
 京香が心配して声をかけてくれる。
「ああ、はい」
 描いていない。
 何を描いたらいいかわからない。