日曜日。
サトは、スケッチブックを持って、サッカー予選の第1回戦試合会場にいた。
人が多い場所は苦手だ。
特に、闘争心に沸き立っている人達は、色が濃くなって怖い。
赤、青、黒のような濃い色が、混ざり合う。
そこにはないはずの炎があがって見えた。
(ちょっと、近寄るのはやめておこう)
遠くなってしまうが、少し離れたところから、観戦することにした。
ここならスケッチも出来る。
亮太は出場しなかったが、アップしたり、応援したりとベンチにいる姿は、緊張感と相まって全て勇ましく見えた。
単純に目が釘付けになるくらい、かっこ良かった。
第1回戦試合は勝利した。
見に来て欲しい。描いて欲しいと言った亮太の言葉を真に受けて大丈夫だったかなと不安になったが、それはすぐ解消された。
スマホにメッセージがきていた。
『見に来てたよな? 出られなかったけど、次も見に来てよ』
『あと、俺のこと描いた? 絵、見せてな』
何度も読み直す。
『絵、描いたよ。次も絶対見に行くよ』
それだけ返して、ベッドに転がり込んだ。
目を瞑って、今日の亮太を思い浮かべてから眠りについた。
