「さっき、おばさんとすれ違って、聞いたよ。うちでメシ食おうぜ」
 と袋を顔の位置に掲げた。
 
「今日は、うちの母ちゃんも夜勤だしさ、出店のいい匂いにつられて沢山買っちゃったよ」
 そう言いながら、ドアを開けて招いてくれた。
 亮太の家に入るのは、久しぶりだった。
 といっても、同じマンションの隣同士なので、同じ作りの部屋に新鮮さは感じない。
 出店から買ってきた焼きそば、イカ焼き、たこ焼きやらをテーブルに並べる。
「かなり買ったんだね」
「ああ……、実は……サトの家に行こうと思ってたからさ」
 はにかみながら言う亮太に目を奪われる。
「こういうのは外で食べる方が旨いだろうけどな。俺は……サトと食べたかったんだ」
「……」
 顔が熱くなる。
 嬉しくて死にそうだ。
「ぼ、僕もりょうちゃんと食べられて嬉しいよ」
「りょ・う・た」
 頷くのが精一杯だった。
 二人きりの食事。
 そのうち、外で花火の上がる音がする。
 二人して、窓を見る。
 そんなシンクロした行動に笑い合った。