絵画教室は、2週間に一度。
 最近といっても、何も変わったことはない。
 おそらく『色』のことを聞いてくれているのだろう。
 小さい頃に、それが悩みで絵を習い始めたようなものだ。
「落ち着いてます。人の色は、絵具で表せない。難しいけど面白です」
「そうね、サトくんがもっている能力を活かすのは、絵具だけではないかもしれないわね」
「……?」
「最近のサトくんの絵は、色がなくても色がみえる。それくらい人の表情の描き方、景色の陰影が上手になっていると思うのよ」
「……!」
 嬉しい。
 小さい頃から、絵はさほど上手ではなかったが、色の使い方だけは褒められていた。
 最近は、鉛筆だけで描く練習をしていたからか。
 細かい描写を褒められて嬉しくなった。
 ――こんにちは。
 クラスの人たちが、ぞくぞくと教室に入ってきて賑やかになる。
「今日は、肖像画です」
 先生が声を上げる。
 二十代と思われる男性モデルが入ってくる。
 こういうバイトがあるらしく、時々、均整のとれた体躯の人物を描くことがある。
 キャメル色のパンツに、白色のシャツ姿、上から2つ目までボタンを外している。