空間の奥行や陰影を表現することを意識して鉛筆をすべらせる。
そこへ京香が現れた。
「サトくん、あら? 練習なんて良い心掛けね」
声の主に顔を上げて、頷く。
「明日の部活だけどさ、隣の公園でスケッチするからね」
「わざわざ、言いに来てくれたんですか? 部長から連絡きてましたよ」
「違うわよ。祥さんが食堂へ行くのを見かけたから追いかけて、たまたまキミのクラスの前を通っただけよ」
周りで、ひそひそと陰口を叩く女子を見据えてさらに続ける。
「私もサトくんも美しい人しか描かないわよ。だから安心しなさい」
京香はそう言い捨てて、手の甲をひらひらさせながら、教室を出て行ってしまった。
教室にいる女子が目くじらを立てて騒いでいる。
京香が出て行ったドアを見つめて、サトは大きなため息をついた。
(全く……自分はいいけど、僕を巻き込まないでほしい。まあ、確かに京香の言う通りなんだけど)
「あの先輩すごいな」
亮太が目を丸くして、サトに話しかける。
「じゃ、俺も美しいのかな。あ、それはキョウヤか」
周りには聞こえないくらいの音量で問われて、目を丸くする。
そこへ京香が現れた。
「サトくん、あら? 練習なんて良い心掛けね」
声の主に顔を上げて、頷く。
「明日の部活だけどさ、隣の公園でスケッチするからね」
「わざわざ、言いに来てくれたんですか? 部長から連絡きてましたよ」
「違うわよ。祥さんが食堂へ行くのを見かけたから追いかけて、たまたまキミのクラスの前を通っただけよ」
周りで、ひそひそと陰口を叩く女子を見据えてさらに続ける。
「私もサトくんも美しい人しか描かないわよ。だから安心しなさい」
京香はそう言い捨てて、手の甲をひらひらさせながら、教室を出て行ってしまった。
教室にいる女子が目くじらを立てて騒いでいる。
京香が出て行ったドアを見つめて、サトは大きなため息をついた。
(全く……自分はいいけど、僕を巻き込まないでほしい。まあ、確かに京香の言う通りなんだけど)
「あの先輩すごいな」
亮太が目を丸くして、サトに話しかける。
「じゃ、俺も美しいのかな。あ、それはキョウヤか」
周りには聞こえないくらいの音量で問われて、目を丸くする。
