君はいつでも宝物をくれる


 見つめて見つめられて、それが当たり前のことで、ずっとこうしていられると幼い僕は、思っていた。
 
「サト、ママと先生は、隣の展覧会場にいるから、ここに居てね。勝手にどこかに行ってはダメよ」
 そう言い残して、先生とママは部屋を出て行った。
 しばらくして、りょうちゃんは、窓の外を見て言った。
「サト、公園に行こうよ」
「公園?」
 はて? ここへ来る途中に公園なんてあったかな……。
 りょうちゃんは、僕をじっと見ている。
 僕の返事待ちだ。
 ……ママが、ここで待っていてと言ってたことを思い出す。
 ダメだよ。と言ったら、りょうちゃんは、僕の手を握りながら言った。
「大丈夫だよ。すぐ近くにあったし、すぐに戻ればいいだろう」
 握られた手が温かくて、嬉しくて、僕は頷いた。

 外は、銀杏並木(いちょうなみき)が連なっていて、歩道は黄色い絨毯となっていた。
 どことなく匂いのキツイ場所があって、りょうちゃんと鼻をつまみながら、走り回った。
 公園を探してまわったけど、結局なくて、しょうがなく展覧会場に戻ってきた。
 だけど、そこにママと先生が居なくて大慌てになった。
「どうしよう。サト、先生とおばさんが居ない」
 りょうちゃんが泣きそうな顔になっている。
 なんとなく、さっきいた展覧会場ではないな。と思っていたけど、何が違うのかわからなかった。
 それに歩き疲れて、もう動けない。
 二人でエントラスの階段に座りこんでしまった。
 りょうちゃんが「ごめん」と言って泣いている。
 泣き虫りょうちゃん。
 口では強気なことを言うのに……。
「大丈夫。僕がずっと一緒にいるから」
「ほんと? ほんと? ずっと一緒だよ」
 りょうちゃんは、そう言うと、涙を袖で拭き取り、僕に笑顔をくれた。
 その笑顔に宝物をもらったような気持ちになった。