*****
 
 亮太と出かける日になった。
 マンションの隣同士だけど、なぜだか駅で待ち合わせしようと亮太に提案された。
 前日の朝、スマホにメッセージが届いた。
『前に言った、出掛ける話、明日でどう?』
 朝からそんなメッセージを見て、学校行ってからもずっと上の空だった。
 返事は、オッケーしたが、着ていく服、髪型、どうしよう。大丈夫かな。とずっとそんなことを考えていた。
 結局、前日でどうにかなるものでもなく、いつもの洋服、いつもの髪型になってしまった。
 日曜日、昼前。初夏のムッとする暑さと、真っ青な空が今日の一日の晴れを教えてくれている。
 指定された場所の大きなモニュメントの前には、待ち合わせなのか、沢山の人がいる。
 まるでデートみたいで、ドキドキする。
 だけど、すぐに何を舞い上がってんだと落ち込む。
 指定された場所で待っていると、キラキラした男の子がこっちに向かって歩いてくるのが見えた。
 亮太だ。
 周りの女子がヒソヒソと話す言葉が聞こえてくる。
「あれって、キョウヤ?」
「違うわよ」
「でも似てるよね」
「かわいい」
 たしかに、亮太だ。洗練された格好に芸能人のような雰囲気が重なり、息をのむ。