英康おじさんは、薄い紫の色が見えた。
責任感の強い、優しい人なんだな。と感じた。
「サト、困ったことがあったら、わたしがいるから大丈夫よ」
僕からは何も言わなかったけど、帰り際におじさんが、それだけ言った。
数日経ってから、ネットで店のことを調べると、会員制のバーと書いてあった。
口コミには、LGBTという文字が入っている。
聞いたことのある言葉だ。
なんとなく知っているようで知らない。
インターネットでそれらの言葉を調べて、納得した。
G ゲイ 自分の性自認が男性であり、男性に性的、恋愛的な魅力を感じる人。
英康おじさんは、きっとそうなのだろう。
――僕もゲイなんだ。
女性より男性に視線が行くのも、気になるのもそういうことなんだ。
だから水着姿の亮太から目を離せなくなった。
触れたい。触れられたい。
――性的、恋愛的――。
いや、友達で、幼馴染だから……好きだけど、好きだけど……違う……。
複雑な感情がぐるぐると渦巻く。認めてしまうのが怖かった。
