君はいつでも宝物をくれる

 以前よりも一緒にいることが増えているから、気になってしょうがない。
 でも、それだけ彼を見ることが出来て、嬉しい。
 だけど、おっちょこちょいにもほどがあるのでは?……わざとか?と勘繰ることもある。
 そうすると決まって「サトは俺をよく見てるから気づくんだよ」と言ってくる。
 そう。僕は亮太をよく見ている。
 そして、彼の絵を描いている。
 
 休みの日に二人で出掛けて、近所のグラウンドでボールを蹴っている亮太の姿を描く。
 夢中で描いて、一息つくと、亮太が僕を見つめている。
 いつも恥ずかしくなる。
 そして、隣に来ると、揶揄うようにまた見つめてくる。
 そろそろ夏休みだ。
「今年こそ、全国に行く」
 グラウンドで走りまわる子供たちを見ながら、決意を固めた目で亮太が呟く。
 本当に、かっこいい。
「うん。応援しているからね」
 亮太の横顔を見つめて言うと、彼の頬が緩んで、顔色がみるみる赤くなっていく。
 それと同じく、彼の色もピンクに染まる。
 そんな顔を見たら、こっちまで恥ずかしくなって、顔を伏せてしまった。
「サト、汗」
 そう言うと、頬を流れる汗をタオルで拭いてくれた。