貴族令嬢は純潔を失ってしまえば、まともな家に嫁ぐことが出来なくなってしまう。クラウディアとの噂以上に、私は結婚出来る機会(チャンス)を失ってしまうのだ。

 ああ……どうして。

 まさか、彼らがここまでするだなんて、思っていなかった。

 社交界デビューしてから求婚者さえ現れれば逃れられると考えていた私が、何もかも甘かったのかもしれない。

 自分が今居る状況を真剣に考えるのなら、クラウディアの叫びなんて無視して、オルランド様に擦り寄るべきだったし、未来のないイーサンとの関係は先んじて距離を置くべきだった。

 今は過去の自分の判断を、悔いることしか出来ない。

 逃げることの出来ない、袋小路。

 そこへと追い詰められて、ようやく……身を守る術も持たない自分が、とんでもない場所で危機感も薄く生活している事に、気がついたのだから。