セーブポイントに設定された幸薄令嬢は、英雄騎士様にいつの間にか執着されています。

「……ええ。夜会は、そういう社交をする場所だもの。貴方だって知っているでしょう」

 私は警戒しつつ、後退りながら答えた。何せドナルドは気が短くいつ何の理由で激昂するか、わからないのだ。

 私には出来るだけ、関わらないようにするしかない方法がない。

「ふん。この前は友人とやらに裏切り者呼ばわりされて、貴族たちには遠巻きにされたと聞いたが……社交界で評判の悪くなった女に、近づく男が居るとはな」

「あの……ドナルド。私に何が言いたいの?」

 私はいつになく突っかかるような彼の言動に眉を顰めた。

 ……それに、なんだか邸内の空気がおかしい。やけに静かなのだ。いつもは忙しく働く誰かを見かけるものだけど、使用人の姿が何処にも見えない。

 まるで、邸内に私たち、二人だけのように思えて。

「おいおい。あの執事のエーリクを探しても無駄だ。オブライエン侯爵家の領地に、大事な書類を急ぎで届けに行った。それに、他の使用人たちには、一日暇を取らせてある。特別に割増をした金をやれば、皆喜んで街へと出て行ったぞ」

「……え?」