そんな彼に、私はどうしても期待してしまう。

「いえ。すみません……ああ、どう言えば良いか。そうですね……俺は、面白くないです。オルランド殿下についてはそう思っています。レティシア様は、彼のことどうお思いですか?」

「私は……私は、その……」

 ここで、なんと言うべき? イーサンの気持ちを、私は……受け入れてしまって良いのだろうか。

 無言のままで顔を熱くした私に微笑み、イーサンは背中に手を当てた。

「そろそろ……帰りましょうか。もう夜も遅いです」

「……はい」

 それ以上は何も言えないまま、私はオブライエン侯爵邸へと帰ることになった。

 イーサン……未来のない身分違いの恋なんて、私はするつもりなんてない。

 早く、彼を断ち切るべきなのだわ。