私だって質問に質問で返すようなことを、するつもりではなかった。イーサンがあまりにも動揺することなく、私に聞いたから……それが、面白くなかったのかもしれない。

「ええ。申し分ない男性ですね。王族で姿も良く、そして、第三王子であれば臣籍を得て、法定相続人であるレティシア様と結婚することも可能ですし……求婚者としては、最適かと」

 少し苦笑いを浮かべながら、イーサンは言った。

「その通り……ですね」

 私が思っていた通りのこと。ただ、クラウディアの一件があるから、素直に彼のことを良いと思えないだけ。

 自分のこれからの未来を考えれば、結婚相手として最善の人。

「……面白くないとは、思いますが」

「え……?」

 私はパッと顔を上げれば、イーサンは微笑んでいた。そんな彼を見て、私はどうしても……胸が高鳴ってしまう。

「すみません。正直に言ってしまうと、とても面白くないですね……俺も別に、負けていないと思ってしまうので」

「それは……その」

 イーサンに微笑んで言われて、私は困ってしまった。王族であるオルランド様に、負けていないと思っていると言ったイーサン。