「私はイーサン・アイズナー。ゴールセン王に仕えております」

 まあ、イーサンは……隣国ゴールセン王国の国王に仕える騎士の一人だったのね。

 私には必要ないことと、彼ら三人が何処からやって来たのか、これまでずっと聞いていなかった。ゴールセン王国は、非常に強力な武力を持つ大国なのだ。

 彼らが存在することによって、周辺国の治安は保たれている。そんな中でも、イーサンはゴールセン王から特別扱いを受けているのね。

「ああ。君はゴールセンの騎士なのか。レティシア嬢とは……どういった関係なのだろうか? 出来れば、僕は彼女と話したいのだが」

 ここで私は、心配そうに視線を送るイーサンに頷いた。私の今後を考えて、ここで自分が勝手なことは言えないと思って居るのよね。

 ……優しい人。

「……オルランド殿下。ごきげんよう。素敵な夜ですね。こちらのイーサンは私の知り合いで、社交界デビュー直後で不安なので、今夜はエスコートをお願いしておりました。彼が言った言葉は本当です。先ほど踊っている時に、足を痛めてしまって……せっかくのお誘いをお受けできず、申し訳ございません」

「そうか。ならば、君とのダンスは諦めよう……少し、ここで話をしても?」

 オルランド様がわざわざ会話の許可を口にし、それを断ることなんて許されない私はイーサンと一度目を合わせてから、無言のままで頷いた。