セーブポイントに設定された幸薄令嬢は、英雄騎士様にいつの間にか執着されています。

 けれど、私には彼女を裏切って近づいたはずのオルランド様と、今ここに居るわけではない。

 周囲の貴族たちも、次なる新鮮な噂へと興味は移っているはずだし……ついこの前に少し騒がれた私のことなんて、誰も気にもしていないように見える。

 なんだか……私も自分のこととなると色々と、考え過ぎなのかもしれない。そう思った。私が勝手に、悪い方向へと悪い方向へと考えてしまっていたのかもと。

 確かにあの時のクラウディアの叫び声は、衝撃的なものがあった。裏切り者と罵って、周囲から友人と思われていた私を糾弾したのだ。

 けれど、オルランド様の誘いをキッパリとお断りして、こうして別の男性と共に居れば、友人が慕う男性を掠め取ろうとした悪女ではあり得ないはずだ。

 だから、私の境遇を面白がるような視線も、今ではほとんどなくなり、その代わりにイーサンは何処の誰なのかと、彼の正体を知りたがるような興味津々の視線だけを感じる。

 イーサンは私と話しているだけで、誰とも話していない。つまり、紹介のとっかかりになる人物が居ないので、誰も話し掛けられない。