彼はきっと私を様子のおかしいイーサンのことで、揶揄うだけのつもりで悪意は特にない。

「いいえ。皆誰しも、事情はあるものと思います。私の場合は、結婚相手を見付けるだけ……ですから」

 苦笑いするしかない私を見てジョセフィンは就寝の挨拶をすると、素早く部屋を出て行った。

 彼が去ってから、雨は降り出した。

 あの時も、雨は降っていた。今はイーサンは怪我をしていない。

 そう思えば、私の役割はとても意義のあるものだと思えた。