そういう情報からすると、イーサンがヴァレリオを怒らせてしまう要因が見つからなくて、私は戸惑ってしまった。

「イーサンは最近、なんだか心ここにあらずで……俺たちの仕事場であるダンジョンに居れば、たとえ魔物が居ない状態でも、危険なことはいくらでも起きます。弱い魔物だとしても油断をすれば、怪我をさせられてしまうということもあるってことです。その、足を怪我した時も、いつものあいつであれば、すぐに避けられたような状況なのに」

「あら……そうだったのね……」

 私はジョセフィンの話を聞いてから、何度か頷いた。

 冒険者パーティ内の仲間たちであれば、お互いの生存が自分の命の安全と直結しているので、ヴァレリオが仕事に身に入って居ないイーサンを怒ってしまうのは、仕方のないことなのかもしれない。

「俺はイーサンは、最近、恋でもしたのかと思って居ました」

「……え?」

 驚いて顔を上げた私にジョセフィンは楽しそうに微笑み、腰に両手を当てて話した。