セーブポイントに設定された幸薄令嬢は、英雄騎士様にいつの間にか執着されています。

 そこに居たのは、黒いローブもびしょ濡れになってしまっているヴァレリオだった。しかも、彼はとても真剣な表情をしていた。

 イーサンに何かあったのかもしれないと、彼を見て悟った。もしかしたら、ここに来られないような、何かがあったのではないかと。

 心臓はバクバクと高鳴り、身体から変な汗もじんわりと滲み出て来たような気がした。

 ……怖い。

「レティシア様。今日は、セーブではなくて……ロードしに来ました。昨夜に戻るために」

「え? あの……何かあったの?」

 これまでにないくらい深刻な様子のヴァレリオを見て、私は高まる動悸を抑えようと胸に両手を当てた。

「それは……是非本人の口から、お聞きになって下さい。ああ、本当にあの魔法書を使っていて良かったと思う日が、こんなにも近くにあったとは思いもしませんでした。レティシア様のご温情にも感謝しています……どうか、お手をお貸し下さい」

「ええ……」

 ヴァレリオは苦笑しつつ、私の差し出した手を取った。

「ロード」

 彼の声が聞こえた瞬間に、私は昨夜……イーサンが私の手を持っている、あの瞬間へと戻っていた。

「……イーサン?」