イーサンはその時、照れくさそうに微笑んだので、彼がそれをとても誇らしく思って居ることが知れた。

「まあ……そうなの。イーサン。貴方って、凄い騎士様だったのね」

 彼は王に仕える騎士ではあるけれど、騎士団長など上司などの指示には従わずに、自由な行動が国王陛下より許されていると言う。

 イーサンが今Sランクの冒険者である上に、そんな特別な騎士だなんて思いもしなかった。

「そう言っていただけるのは、嬉しいです。ですが、褒められるとなんだか恥ずかしいので、その辺にしていただけると……」

「ふふふ。ごめんなさい」

 イーサンは鍛えられた長身が際立ち、貴族は細身の男性が多い中で、際立って目立っていた。彼に話し掛けたそうな視線が、いくつも送られた。

 けれど、貴族は知人からの紹介がなければ話せない。彼がどういった身分を持ち、誰であるのかがわからないままで、知り合いからの紹介なく声を掛けてしまっては無作法になるのだ。

 それが許されるのは、おそらくは国王陛下のみ。

「良かったら、俺と踊りますか?」

 イーサンは私へ大きな手を差し出したので、驚いてしまった。