ただ、彼女の思って居ることは完全に誤解で、私にはクラウディアを傷つける意図など何もないと、わかってもらうことしか出来ない。

 余計なことを言ってしまえば、彼女のことを侮辱したことになりかねない。

 とても、難しい状況だった。

「夜会の日は、いつですか」

 隣のイーサンが不意にそう聞いた。そういえば、必要あって私を夜に訪ねて来る予定の彼らにも、その予定は伝えておいた方が良いかも知れないと思った。

「6日後の夜に。その日は、帰りは深夜になるかもしれません」

 社交界デビューしたばかりとは言え、国王陛下よりも、夜会会場を先に後にするわけにはいかない。

 まだまだデビューしたばかりで、勝手がわからないのだ。

 ああいった社交場に同行する介添人も叔父様の息が掛かった人なので、出来れば彼女の力は借りたくなかった。

「構いません。俺たちは迷宮攻略の日程を誰かに決められているわけでもなく、どうとでもなりますので」

 その時に三人は目配せをしていたように思うけれど、冒険者たちが挑む地下迷宮攻略については全く知らないので、その事だろうと私は暢気に思っていた。