「いいえ。気にしないでください」
ジョセフィンは軽口を素直に謝罪してくれたので、私は微笑んで頷いた。
「それでは、乾杯をしようか」
そう言って彼らは酒の入った杯を持ったので、私も慌ててそれに習った。
「「「俺たちの、冒険(クエスト)に、祝福を」」」
彼らは声を合わせてそう言って、互いの杯をぶつけ合ったので私もそうした。
三人はそのまま一気に酒を煽ったので、私も慌ててそうしようと思ったのだけど、空の杯を片手に持ったイーサンの手に止められた。
「すみません。これを言うのが遅れて申し訳ないんですが、俺たちと何もかも一緒にしなくて大丈夫です……貴族令嬢に、とんでもないことをさせてしまうところでした」
美味しそうな料理が運ばれて来て、良い匂いが鼻をくすぐった。
「……いえ。なんだか、良いわね。こうした賑やかな場所で食事をするのは、生まれて初めてだわ」
私は人でいっぱいになった店内を見渡して、そう言った。ガヤガヤとした話し声の喧噪の中には、楽しそうな笑い声が時折響く。



