彼らが定宿としてる『レンガ亭』から少し歩いた場所にある酒場は非常に盛況で、客が満杯になって外で皿を持って食べている人も居るくらいだった。

 ヴァレリオが先んじて予約してくれていたというテーブル席に通されて、いつもよりかなり地味なドレスを選んで着て来た私は見よう見まねでイーサンの隣に座った。

「……レティシア様は、何が食べたいですか? なんでも頼んでください。値段は気にせずに」

 私はヴァレリオからメニュー表を渡されて、ずらりと並んだ料理名を見ても、それがどんな料理であるか分からずに戸惑った。