セーブポイントに設定された幸薄令嬢は、英雄騎士様にいつの間にか執着されています。

「ええ。誰かに話すだけでも、気持ちが晴れることはありますよ。もしかしたら、今悩んでいることにも、見えなかった突破口があることに気がつくかも」

 イーサンはとても優しい目をしていた。彼の言った通り、話すだけでも行き詰まったような気持ちが、また変わってくるかもしれない。

 そう思えた。

 それに、イーサンは異国の冒険者だ。

 今は目的はあるからヘイスター王国に居るだけで、地下迷宮最奥に棲まう魔物を倒して、SSランク冒険者と呼ばれるようになってしまえば巨額のお金を稼ぎ出す、クエスト漬けで旅を続ける日々へと戻ってしまうだろう。

 私はヘイスター王国の貴族で、先祖代々の血を繋ぐためにはどこにも行けない。近い未来には、こうして彼と会うこともなくなる。

 ……だから、今ここで誰にも言えない気持ちを、吐き出してしまっても良いかもしれない。

 イーサンはここでどうすべきかと迷っている私の気持ちをわかっているかのように、何も言わずに待ってくれていた。

 彼のそんな優しさに背中を押されて、心の中にあったものが口から溢れ出すように、私はぽつりぽつりと話しはじめた。