ああ。また、この話だ。ジョス叔父様とデボラ叔母様の間には、ドナルドという息子が居て、私よりも八つ年上なのだ。
代理人として住む叔父同様に同じ邸に住んでいるものの、私はずっとドナルドを避けていた。幼い少女の頃からいやらしい目を向けられているようで、気持ち悪かったからだ。
執事のエリックなどが彼と二人にならないように常に気をつけていてくれなければ、邸内で襲われてしまっていたかもしれないとまで思っていた。
「……ジョス叔父様。私もまだ社交界デビューしたばかりで、出来れば色々な方とお話ししてみたいのです」
私は話を肯定するでもなく否定するでもなく、曖昧に言って微笑んだ。
ドナルドとの結婚なんて考えられないし絶対に嫌だけれど、まだ彼らとの関係は続くのだし、それをここで表に出してしまう訳にもいかない。
「お前は、賢い子だ……自分が進むべき正しい道をわかってくれると、信じているよ」
「……はい」
ジョス叔父様は微笑んで私の二の腕にポンと触れ、私の部屋を出て行った。
ジョス叔父様だって、わかっているのだ。貴族社会で悪い噂は、致命的。
代理人として住む叔父同様に同じ邸に住んでいるものの、私はずっとドナルドを避けていた。幼い少女の頃からいやらしい目を向けられているようで、気持ち悪かったからだ。
執事のエリックなどが彼と二人にならないように常に気をつけていてくれなければ、邸内で襲われてしまっていたかもしれないとまで思っていた。
「……ジョス叔父様。私もまだ社交界デビューしたばかりで、出来れば色々な方とお話ししてみたいのです」
私は話を肯定するでもなく否定するでもなく、曖昧に言って微笑んだ。
ドナルドとの結婚なんて考えられないし絶対に嫌だけれど、まだ彼らとの関係は続くのだし、それをここで表に出してしまう訳にもいかない。
「お前は、賢い子だ……自分が進むべき正しい道をわかってくれると、信じているよ」
「……はい」
ジョス叔父様は微笑んで私の二の腕にポンと触れ、私の部屋を出て行った。
ジョス叔父様だって、わかっているのだ。貴族社会で悪い噂は、致命的。



