セーブポイントに設定された幸薄令嬢は、英雄騎士様にいつの間にか執着されています。

 すまなそうに軽く頭を下げて、イーサンは部屋へと入って来た。あの魔法を発動させれば、虹色に光ってしまうので室内でした方が良いわよねと思った。

「いいえ。気にしないで」

 私は彼に向けて、右手を差し出した。

 イーサンは別に私に会いに来たわけではなく、ただ今日の冒険の終わりを『セーブ』しに来たことは理解しているから。

 イーサンは差し出したその手をじっと見つめてから、不意に私と目を合わせた。

 ……自ら発光するかのような、不思議な若草色のイーサンの瞳。そこに浮かぶのは真摯な光で、これまでに揺らぐことはなかった。

「あの……その前に、少しだけお話をしても良いですか。不躾なことはわかっています。今ここに居ることを許されていることも、ただ俺たちの頼みを聞いてくれただけで、本来ならばあり得ないことも」

 イーサンは言葉を選ぶ慎重な口振りで、そう言った。

「え? ……ええ」

 私は手を胸の前に引き戻して、戸惑いながらも頷いた。