私はその日、朝から体調が悪いからとメイドに伝え、自室に篭もっていた。

 こんな鬱々した気分を抱えたままで、叔父たちに対峙することは難しいと思っていた。クラウディアには重ねて誤解だと書いた手紙を出したけれど、あの剣幕だと読んでくれるかはわからない。

 とにかく、こういう事態はこれまでに一回もなかったし、どういう行動を取れば最善と言えるのか。

 そんなことを延々と考えている内に、夜まで時間が過ぎて行った。

 就寝の準備を終えた時、バルコニーに続く扉が叩く音が聞こえて、誰が来たか悟った私は扉を開けた。

 鍵を開けていたけれど、勝手に入って来るわけではないわよね。

「……こんばんは」

「こんばんは」

 扉の前に居たのは、金髪のイーサン一人だった。背が高くて凜々しい顔つきの彼は、その他の二人と違いあの時はほとんど喋らなかった。

 だから、どんな人か想像もつかなくて、少しだけ緊張してしまった。

「すみません。就寝前に。もっと早く来られれば、良かったのですが」