だから、いくらでも身分の高い美女を選り好み出来るオルランド様が、デビューしてすぐの私に一目惚れしたというのは考えがたい。そこには何かの理由があると思うのが、当然のことだろうと思う。

 突然の事態に混乱したクラウディアが、自分を傷つけるとわかりつつ友人である私が彼に近付いたのではないかと、疑心暗鬼になってしまうのも仕方ない。

 それを私も理解してしまっていたから、言い訳も出来ずに、普段使われていない区画にある部屋にある洋服箪笥(クローゼット)に逃げ込み、泣いてしまっていたわけだけれど……。

 ああ……そういえば、彼らのこと。

 いきなり、洋服箪笥(クローゼット)の扉を開いた冒険者たち。あの時、別れる前に夜には窓を開けておいて欲しいとお願いされただけで、邸内の私の部屋がどこかも知らないはず。

 けれど、あの摩訶不思議な最高位時魔法『セーブポイント作成』の魔術書を手に入れることの出来るくらいの、Sランクにある凄い冒険者たちだもの。

 彼らにしてみれば貴族の邸に侵入するくらい、簡単なことなのかもしれない。