ブラント伯爵令嬢であるクラウディアは、幼くして両親を亡くしてしまった私に対し、とても良くしてくれていた。私も彼女を頼りにしていた。

 彼が初対面と言えるあの方が何故私を誘って来たかはわからないけれど、彼女が第三王子であるオルランド様を慕っている話は、これまでに何度も数え切れないほどに聞いたことがあった。

 それほど、好きな人が私をデートに誘ったので、激昂してしまったことは仕方ないわ。

「……どうしてかしら」

 私本人だってオルランド様が誘ってくれたことに対し、とても不思議に思っていた。

 クラウディアにああして指摘されたことに関しては、誰かにそう思われても仕方がない……と思うような事柄だったからだ。

 オルランド様はヘイスター王国第三王子で、兄王子二人とは違い婚約者については定められておらず、これまでに浮いた噂はあまりなかった。

 もしかしたら、彼は女性嫌いなのかもしれないという噂だって、面白がって流れたくらいだ。

 私は自分で言ってしまうのもおかしな話だけれど、外見に自信がある方ではない。別に悪いとも思ってはいないけれど、特別に良いとも思ってはいない。