これまで見たともないような形相で、あれだけの罵声を浴びせられたことを思い出し、大きくため息をついた私は上半身を起こした。
ヘイスター王国創国の頃から王家に仕え、歴史あるオブライエン侯爵家は正当後継者の私が、まだ未成年だったり法定相続人であるけれど確たる立場を持たないことを理由に、継承権のない叔父夫婦が私の後見人として亡くなった父の代理人をしている。
つまり、今の私には、まだ何の実権もない。
けれど、社交界デビューを済ませ、どこか有力貴族の次男であったり三男であったりから求婚されて受ければ、夫を侯爵とし代理人としての権限をすべて叔父から自分へと戻す予定だった。
そこに、昨日降って湧いた不幸が、これまで不遇な立場にあった私を支えてくれてくれていた、一歳上の友人クラウディアの想い人から、デートに誘われてしまうという大悲劇だった。
怒りを隠せないクラウディアから令嬢たちが集まるお茶会で公然と裏切り者と罵られ、あれから夜が明けた今では、何があったかという噂話がまわり貴族たちに知られている頃だろう。
ヘイスター王国創国の頃から王家に仕え、歴史あるオブライエン侯爵家は正当後継者の私が、まだ未成年だったり法定相続人であるけれど確たる立場を持たないことを理由に、継承権のない叔父夫婦が私の後見人として亡くなった父の代理人をしている。
つまり、今の私には、まだ何の実権もない。
けれど、社交界デビューを済ませ、どこか有力貴族の次男であったり三男であったりから求婚されて受ければ、夫を侯爵とし代理人としての権限をすべて叔父から自分へと戻す予定だった。
そこに、昨日降って湧いた不幸が、これまで不遇な立場にあった私を支えてくれてくれていた、一歳上の友人クラウディアの想い人から、デートに誘われてしまうという大悲劇だった。
怒りを隠せないクラウディアから令嬢たちが集まるお茶会で公然と裏切り者と罵られ、あれから夜が明けた今では、何があったかという噂話がまわり貴族たちに知られている頃だろう。



