『何を白々しい! 私の気持ちを知っていながら、影でオルランド様の気を引くようなことをしていたんでしょう! ここで白々しい嘘をつくなんて。裏切り者の上に、とんでもない悪女だわ!』

『そんな! 待って。クラウディア。貴女を裏切るだなんて……考えたこともないわ。だって、私は……』

『言い訳なんて……聞きたくない! 何も、聞きたくない!! 最低よ! レティシア。二度と私に関わらないで!!』

「待って! 違うわ。誤解よ。クラウディア!」

 右手を伸ばし声を上げたところで、パッと目が覚めた。いつもの、天蓋付きのベッドの中で目覚めた。

 夢だった。

 ……いえ。違うわ。これは、夢ではないわ。

 昨日、現実に起こったことが、夢で再現されたのね。私は伸ばしていた右手を引っ込めた。あの後、この手は無情にも振り払われた。

 周囲からはひそひそと聞こえる、面白がるような囁き声や笑い声。

 ああ。クラウディア……時間を置いて落ち着いてくれれば、私の話を聞いてくれる余地はあるかしら。