クラウディアの声は、毅然としていた。

 ……おそらくは、彼女には覚悟があったのだ。

 私を不幸にするために、自分も不幸の底に落ちても良いと……そう思って居たのだ。

「レティシアの友情を裏切ったことは犯罪でもなく、罰則はないかもしれない。だが……君にはこの先、どんな友人も信じることも出来ずに、一生孤独の中で生きることになるだろう。それは、君がそうしたんだ……誰かに信じても、いつか裏切られるかもしれないと思い悩む人生を選んだんだ」

「どうでも良いわ……そんなもの。要らないもの」

 イーサンは近くに控えていた衛兵に合図をして、クラウディアを連れて行かせた。

 ……ああ。

 今思うと、なんだか変だと思う違和感は……たくさんあったような気がする。

 けれど、私はそれを見ない振りをした。私はクラウディアが居なければ、一人になってしまうからだ。

 頼る人も少なく、孤独の中で生きて行くには、私は弱かった。

 けれど、思うのだ。

 信じられない人を疑いながら生きるよりも、孤独の中で信じられる人を待つ方が良い。

 彼女の言葉が確かだったとすると、それは、もしかしたら、私にとってはオルランド様であったかもしれなかった。

 ……けれど、今は私にはイーサンが居る。

 本当に偶然で奇跡のような出会いだけれど、今ここに彼と幸せへと歩む私が居ることは事実だった。