そして、ゴールデン王国の高位貴族イーサンを後見人とすることの出来た私は、ようやく安心出来る生活へと戻った。

 オブライエン侯爵家については、法定相続人である私が、執事エーリクを代理人とすることにした。これまでも実務については彼が担当してくれていたので、当分は何の問題も起こらないだろう。

 むしろ、叔父たちに邪魔な余計な口出しをされず、のびのびと職務が遂行出来ると喜んでいた。

 エーリクは、忠実な執事だ。そこまでしてくれることについて、何故かと聞けば、私の亡き父に命を救われたらしい。

 叔父たちのように誰かの尊厳を踏みにじっても特段何も気にせず生きていける人たちもいれば、ただ一度救われたことを覚えていて、その後の多くの時間を捧げてくれるエーリクのような人も居る。

 どちらかになりたいかと言われれば、私は考える時間は要らなかった。

 ……イーサン。彼が見付けてくれて居なければ、私は不幸のままで、一生を過ごして居たことになる。