セーブポイントに設定された幸薄令嬢は、英雄騎士様にいつの間にか執着されています。

 そう言えば、私にイーサンが名前だけの自己紹介をした時、彼らは変な顔をしていた。あれはイーサンが私へ偽名を使ったことを、不思議に思った顔だったのかもしれない。

「そうです。レティシア様を想う気持ちはあるが、身分を隠し中途半端な状態で近づこうなどと……高所から落ちた時は、きっと罰が当たったのだと思いましたよ」

 ヴァレリオが軽く睨んだので、イーサンは所在なさそうにしていた。

「何もかも、ヴァレリオの言う通りだ。レティシアが問題を抱えていることはわかっていたが、これまで大丈夫だったのだから、大丈夫だろうと思っていた。そして、気持ちを伝えれば、きっと応えてくれるだろうと……」

 私も同じ事を思っていた。だから、イーサンの気持ちも理解出来た。

 それに、好きな人に好意を告げることは怖いものだ。私たちはゆっくりと距離を縮めていた。双方共に意地になっていたのかもしれない。

 窮地に追い込まれて私は、ようやくイーサンと共に居たいと、気持ちを決めることが出来た。

「どちらにせよ。間に合って良かったです。当分は牢へ入っていれば良い。とんでもない、卑劣な男だ」